「世界遺産ってなんか堅苦しい」
「世界遺産のタイトルも抽象的だし何がすごいのか良く分からない」
「解説を読んでもポイントが良く分からない」
この記事はそんな方に向けて書いています。
様々なサイトで世界遺産については説明されていますが、どのサイトも難しいです。
それは情報量が多すぎて、事前知識がないと理解しづらいからです。
この記事では、国内23の世界遺産を制覇し年間50回以上国内を旅行する筆者が、簡単に理解したいという方のために世界遺産に登録された理由をたった3行で分かりやすくシンプルに解説します。
世界遺産に登録された理由を理解すると、旅先での見方は変わります。
それは世界遺産への登録理由こそが「他の観光地とは一線を画す」理由だからです。
世界遺産の概要を理解して、ぜひ現地に足を運んでみましょう。
屋久島は日本で初めて登録された世界自然遺産

[登録年]:1993年
[所在地]:鹿児島県屋久島町
[登録区分]:自然遺産
屋久島は九州本土最南端の佐多岬から南南西約60kmに位置しています。
法隆寺地域の仏教建造物・姫路城・白神山地とともに、日本で初めて世界遺産(世界自然遺産)に登録されました。
島の総面積は5万429haですが、すべてが世界遺産に登録されているのではありません。
約21%にあたる1万747haが世界遺産に登録された地域です。
世界遺産に登録されていない地域は「自然休養林」といって、散策のために設けられた森林です。
すなわち屋久島の世界遺産を守りながら気軽に屋久島の自然を楽しめるということです。
屋久島には
- 縄文杉に代表される樹齢1000年以上の屋久杉
- コケむした深い森
- 世界有数の照葉樹林
- この島でしか見られない固有の生物
などの見どころがあります。
屋久島が世界遺産に登録されている3つの理由

屋久島の文化財が世界遺産に登録されている3つの理由を紹介します。
屋久島とはどんなところ
多様な自然がたったひとつの島に凝縮されている

屋久島は周囲約130km、直径30kmのほぼ円形の島です。
九州最高峰の宮之浦岳(1936m)をはじめ1000m級の山々が連なっていることから、「洋上のアルプス」などとも呼ばれています。
屋久島の約90%は山岳部で、平地は海沿いに少しある程度です。
海岸付近の平地と内陸の山岳部では約2000mもの高低差があるので、南北2000kmを超える日本列島の気候が詰まっていると言われ、標高によって変わる気候によって様々な生態系が見られます。
花崗岩でできている「岩石の島」

屋久島は1400万年前に地下から盛り上がったマグマが冷えて固まったことでできました。
そのため土壌は花崗岩であり、実はこれが巨大な屋久島を生む秘密です(後ほど説明します)。
現在も1000年に1mのペースで隆起しています。
樹齢1000年を超える屋久杉

屋久島では2つの森の姿を見ることができます。
- 四季を通じて青々と輝く照葉樹林
- 雲や霧が漂うスギの森
標高500m以上では天然のスギが分布しており、樹齢1000年を超える巨大なスギは屋久杉、1000年未満は小杉と呼ばれます。
数多くの固有種が存在する

屋久島はその自然の豊かさから多くの固有種が存在します。
見どころは屋久杉だけではありません。
屋久島では大量の雨が降る

屋久島は「ひと月に35日雨が降る」と言われるほど雨が多いです。
年間降水量は平地で2500~5000mm、山岳部は5000~7500mmほどとなり、東京は年間1500mm程度なので屋久島の降水量がいかに多いかが分かります。
特に春先と梅雨時に多く、豊富な雨が屋久島の自然を豊かにします。
縄文杉は樹齢1000年を超えた巨大なスギ(屋久杉)の中で一番大きい

屋久杉と呼ばれる樹齢1000年を超えた巨大なスギの中で、一番大きいものが縄文杉です。
縄文杉は標高1300mの斜面に立っており、屋久島のシンボルです。
保護の観点から近づくことができないので展望デッキから鑑賞しましょう。
複数の木が合体したのではなく一本の木である
縄文杉は高さ25m、周囲16mもあるので、その大きさから複数の木が合体したのではとも考えられていました。
しかし周囲の枝をDNA鑑定したところ、1本の木であることが証明されました。
樹齢についても2000年~7000年と様々に憶測されていましたが、内側から成分を採取した結果、2170年ほど特定されています。
縄文杉をはじめ屋久杉が長寿なのは栄養の乏しい土壌でゆっくりと成長するから
スギは日本全国どこでもある木で、樹齢は300年ほどです。
一般的に樹木は成長すると中心部から腐り空洞ができます。
そして木を支えられなくなると倒れて生涯を終えます。
それに比べると屋久杉はダントツで樹齢が長いことが分かります。
屋久杉がここまで強靭な生命力を持つようになったのは厳しい自然環境が関係しています。
屋久島の土壌は花崗岩なので栄養がなく、また雨が降っても保水力がないのですぐに海へ流れ出てしまいます。
台風も多く、冬には積雪します。
このような環境の中、屋久杉は時間をかけてゆっくり育つようになりました。
すると年輪が細密になり堅くなるので、抗菌・防虫作用のある樹脂が溜まりやすくなります。
樹脂の油が普通より数倍多くなることで腐りにくい木になったのです。
長寿の秘訣は、栄養の乏しい土壌で時間をかけてゆっくり育つ、ということにありました。
まだまだある屋久島の見どころ
永田浜

- 北太平洋一のアオウミガメの産卵地
- 産卵の時期である5月~8月には多くの観光客が訪れる
西部林道

- 世界最大級の照葉樹林
- 世界遺産登録地域の中で唯一海に面している
ヤクスギランド

- 標高1000mほどに広がる自然林で、島を代表するスギが見られる
- 300年程前に多くの屋久杉が伐採されたため切り株が多い
白谷雲水峡

- 標高600~1000mに広がる自然林で、照葉樹林と針葉樹林の移行帯
- 美しい渓流と何百種ものコケに覆われている
- もののけ姫に登場する原始の森のモデルにもなった
まとめ
「屋久島」の紹介はいかがだったでしょうか。
簡単でもいいので世界遺産については絶対に登録理由を知ったほうがいいです。
それは世界遺産が「他の観光地とは一線を画す」からです。
この記事が、ちょっとでも目線が変わるお役に立てれば嬉しいです。
以上、<なぜ「屋久島」は世界遺産?その理由を3行で分かりやすく解説!>という話題でした。