「世界遺産ってなんか堅苦しい」
「世界遺産のタイトルも抽象的だし何がすごいのか良く分からない」
「解説を読んでもポイントが良く分からない」
この記事はそんな方に向けて書いています。
様々なサイトで世界遺産については説明されていますが、どのサイトも難しいです。
それは情報量が多すぎて、事前知識がないと理解しづらいからです。
この記事では、国内23の世界遺産を制覇し年間50回以上国内を旅行する筆者が、簡単に理解したいという方のために世界遺産に登録された理由をたった3行で分かりやすくシンプルに解説します。
世界遺産に登録された理由を理解すると、旅先での見方は変わります。
それは世界遺産への登録理由こそが「他の観光地とは一線を画す」理由だからです。
世界遺産の概要を理解して、ぜひ現地に足を運んでみましょう。
世界遺産は岐阜県白川郷と富山県五箇山にまたがる
[登録年]:1995年
[所在地]:岐阜県大野郡白川村、富山県南砺市五箇山
[登録区分]:文化遺産
[登録名称]:白川郷・五箇山の合掌造り集落
一般的には岐阜県白川村の「白川郷」が有名ですが、世界遺産に登録されているのは、岐阜県大野郡白川村と富山県南砺市五箇山の二つのエリアです。
《世界遺産登録地域》
- 岐阜県大野郡白川村
- 岐阜県白川村荻町地区
- 富山県南砺市五箇山
- 富山県平村相倉地区
- 富山県上平村菅沼地区
岐阜県白川村と富山県南砺市五箇山は、夏は涼しく過ごしやすい反面、冬は豪雪地帯で一面の雪に覆れます。
これらの地域では手のひらを合わせたような三角屋根の合掌造りの集落があります。
この地域でしか見られない特殊な家屋には雪国の厳しい環境で暮らす人々の知恵と文化が詰まっています。
白川村の白川郷は規模が大きく観光地として整備されているので毎年多くの観光客が訪れます。
一方で五箇山は小規模なので、より素朴な日本の原風景をみることができます。
白川郷・五箇山の合掌造り集落が世界遺産に登録されている3つの理由
白川郷・五箇山の合掌造り集落が世界遺産に登録されている3つの理由を紹介します。
昔話のような日本の原風景
岐阜県から富山県にかけて流れる庄川沿いの岐阜県白川村荻町と富山県五箇山地方の相倉・菅沼の3つの集落に合計88棟の合掌造りの家屋が残っています。
合掌造りとは手のひら(掌)を合わせたような形のかやぶき屋根の家で、三角屋根が立ち並ぶその風景はまるで昔話の舞台のようです。
緑の山々に囲まれ、水田や稲が生い茂る風景と合掌造りの調和は古き良き日本の原風景そのものです。
このように自然環境との調和も世界遺産に登録された理由のひとつです。
日本でも特殊な合掌造り
合掌造り自体は日本の民家でも多く使われており、この地域だけの珍しいものではありません。
ではなぜ世界遺産に登録されているかというと、合掌造りの形に理由があります。
この地域の合掌造りは「切妻合掌造り」と呼ばれる勾配の急なかやぶき屋根を特徴とする家屋です。
急勾配にすることで雪を落としやすくしたり、屋根裏部屋を設けることができました。
この辺りは平地が少なく、稲作に不向きだったため、養蚕を行うことで収入を得ていました。
屋根裏部屋は養蚕を行う仕事場でもあったのです。
このように環境や風土に合わせて生み出された家屋は、非常に合理的で優れた設計だったのです。
白川郷や五箇山では小さな建物や物置、公衆トイレさえも三角屋根で作られています。
豪雪地帯では何度も雪下ろしをしなければならないので、いかに効率的に雪を落としやすくするかが考えられています。
切妻合掌造りの屋根には工夫が散りばめられている
切妻合掌造りの屋根はカヤが何重にも積み重ねられて作られています。
カヤは多くの油分を含んでいるので雨に強く、重ねることで空気の層をつくり外からの熱を伝えにくくしています。
そのため夏は涼しく、冬は暖かい住居にすることができます。
どの家も同じ方向を向いている
どの家も屋根を東西に向けて作られています。
これは太陽の光が屋根に積もった雪に均等に当たって溶けやすくするためです。
また集落の南北にある谷から強い風が吹くので、その影響を和らげる効果もあります。
屋根の傾きが急である
切り立った屋根はこの地域の特徴ですが、その傾きは60度もあります。
先述のように屋根に積もった雪を落としやすくしたり、養蚕を行うための広い屋根裏部屋をつくるためです。
屋根の上部に木が刺さっている
合掌造りの屋根の上部に木が何本も刺さっています。
これは「ミズハリ」とう屋根の頂上に乗せた棟(束ねたカヤでつくったもの)が風で吹き飛ばされないようにするためのものです。
「ミズバリ」に針金や縄をかけて棟を両側から押さえつけ屋根を丈夫にしています。
村人の強いつながり「結」
白川郷・五箇山地方には村人たちがお互いに協力し合う「結」という助け合いの制度があります。
豪雪地帯の厳しい自然環境ではそれぞれの家が単独で暮らしていくことは難しく、生活のさまざまな場面で家同士が協力し合う必要がありました。
こうして育まれた助け合いの制度が「結」です。
例えば、15~50年ごとに行われているかやぶき屋根のふきかえは、村人が集まって一緒に作業します。
次に別の家で屋根のふきかえがあるときは一緒に作業をしてお返しするのです。
お金のやり取りではなく共同作業で協力し合って、伝統的な集落を守り続けています。
まとめ
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の紹介はいかがだったでしょうか。
簡単でもいいので世界遺産については絶対に登録理由を知ったほうがいいです。
それは世界遺産が「他の観光地とは一線を画す」からです。
この記事が、ちょっとでも目線が変わるお役に立てれば嬉しいです。
以上、<なぜ「白川郷・五箇山の合掌造り集落」は世界遺産?その理由を3行で分かりやすく解説!>という話題でした。