「高野山の見どころは?」
「実際の雰囲気はどんな感じ?」
この記事はそんな方に向けて書いています。
観光サイトでその地域に魅力を感じても、実際に行ってみると残念だっというケースもあります。
そこで国内23の世界遺産を制覇し年間50回以上国内を旅行する筆者が、高野山の見どころと感想を一眼レフならではの写真とともにお届けします。
高野山は境内に一歩足を踏み入れると他のお寺とは違った厳かな雰囲気に包まれます。
それはまるで現実世界にいながらあの世とつながっているような感覚です。
日本独自の宗教心が根付いた高野山で、不思議な感覚をぜひ感じてみてください。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつである高野山

「紀伊山地の霊場と参詣道」は2004年7月にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
その中でもミシュラン旅ガイド日本版で、三つ星を獲得している高野山・金剛峯寺に行ってきました。
高野山は、約1200年前に弘法大師・空海によって開かれた真言密教の修行道場で、高野山真言宗の総本山です。
標高約900メートルの山上に広がる盆地には、117もの寺院が立ち並んでいます。
実際に高野山に足を踏み入れると「他とはまったく異なる空気」を感じ、日頃の邪念が打ち払われるとともに心身が清められた感覚がしました。
そんな神秘的な高野山を紹介します。
施設名:高野山
住所:和歌山県伊都郡高野町大字高野山
時間:8:30~17:00(受付16:30)
料金:一般500円、小学生200円(金剛峯寺)
定休日:無休
駐車場:なし(周辺駐車場を利用)
HP:https://www.koyasan.or.jp/
高野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録された理由はこちらの記事をご参照ください!
高野山の場所
高野山の歴史


標高約900メートルの高野山は、約1200年前に弘法大師・空海によって開かれた真言密教(真言宗)の修行道場で、高野山真言宗の総本山です。
東西約6㎞、南北約3㎞の中に両壇と呼ばれる二大聖地「壇上伽藍」と「奥之院」をはじめ、金剛峯寺など117もの寺院が建ち並んでいます。
空海は、
- 国家の安泰
- 世界の平和
- 修行者のために人里離れた山奥に真言密教の根本道場を建立する
という願いを持っていました。
その願いが叶い、816年に真言密教の根本道場を開くために嵯峨天皇からこの地を賜ったとされています。
総本山金剛峯寺は高野山のすべてが境内である


高野山にはたくさんのお寺があるので、結局なにが総本山金剛峯寺なの?と混乱してしまいます。
結論から、高野山のすべてお寺をあわせて総本山金剛峯寺といいます。
普通お寺と言えば、建物一つのことを指しますよね?
総本山金剛峯寺の場合は、金剛峯寺という主殿だけではなく、高野山全体を指しています。
高野山の至るところが総本山金剛峯寺の境内であり、全体でひとつのお寺・総本山金剛峯寺を形成しています。
このようなお寺のことを一山境内地と言います。
ちなみに総本山金剛峯寺の本堂は「金堂」と呼ばれる建物です。
高野山の観光マップ
高野山は広大なエリアにわたるので事前にマップを確認しておきましょう。
優先順位をつけて見て回らないと1日あっても回り切れません。
高野山で見るべき観光スポット
高野山は広大な山間につくられているので、1日かけてもすべての建物を回ることはできません。
(そもそも修行所なので観光所ではありません)
高野山で見るべきは、
- 金剛峯寺(主殿)
- 壇上伽藍(聖地①)
- 奥之院(聖地②)
の3つです。
とくに「壇上伽藍」と「奥之院」は二大聖地と呼ばれています。
金剛峯寺
いよいよ金剛峯寺を見て回ります。
ちなみに金剛峯寺周辺には飲食店が少ないのでお昼をはさんで行かれる方は気を付けてください。
正門


金剛峯寺前駐車場に車を止めると真正面にあるのが、新緑が美しい金剛峯寺の正門です。
この正門は金剛峯寺の建物の中で一番古く、1593年に再建されてから今日まで建っています。
昔は正門から出入りできるのは天皇・皇族・高野山の重職だけという厳しいルールがありました。
写真には写っていませんが、正門の右手側には小さな入口があり現在も一般の僧侶が出入りする際はこの小さな入口を使用しています。
鐘楼


正門をくぐり抜けると、右手に鐘楼があります。
鐘楼とは寺院において鐘を設置するために設けられた施設です。
造りが美しい鐘楼は、県指定文化財に指定されています。
大玄関


正門を抜けて正面には、柵が設置された入り口が見えます。
ここは金剛峯寺の表玄関にあたる大玄関です。
大玄関も、正門と同じく天皇・皇族・高野山の重職だけ出入りが許されました。


昔は一般の僧侶は裏口から出入りしていたようですが、現在は一般客と同じように大玄関の右手にある一般参詣入口を使っています。
大広間




主殿に入るとまず目に飛び込んでくるのは大広間です。
大広間では年間を通して重要な儀式・法要が執り行われています。
襖には鶴の絵、松の絵が描かれていて見事な景観です。


大広間の横にある高野杉も見事でした。


引用元:金剛峯寺公式HP


引用元:金剛峯寺公式HP
その後は梅の間、柳の間と続きます(写真は撮影禁止です)。
柳の間は、豊臣氏の2代目関白・豊臣秀次が自害したことから「秀次自刃の間」とも呼ばれています。
大広間から別殿に向かう途中の枯山水庭園


大広間から別殿に向かう渡り廊下には枯山水の庭園があります。
別殿


引用元:金剛峯寺公式HP
1934年、空海御入定1100年の際に建てられた桃山様式の建築で、1983年までは一般信徒の休憩所として使用されていました。
別殿は写真撮影不可でしたが、複数の部屋に見事な襖絵が描かれていました。
蟠龍庭








新別殿に向かう手前にある石庭が蟠龍庭です。
その大きさは石庭として国内最大級で2,340平方メートルもあります。
おおよそテニスコート9面分に相当します。
一面の雲海を京都の白川砂で表現し、その中央に龍の如く曲線を描いた石組が置かれています。
石組には空海の出身地である四国の花崗岩が使用されています。
新別殿




新別殿は1984年、空海御入定1150年の際に参拝者の接待所として建てられました。
仕切りを外すと169畳の広さになるそうで、その大きさに圧倒されました。
普段は参拝者の休憩所としてお茶も配られています。
台所


金剛峯寺の最後の見どころが台所です。
江戸時代以降におよそ2,000人の僧侶の食事を賄ってきたそうで、柱や梁も煤で真っ黒になっています。
大きな釜は、1つで約七斗(98キログラム)のご飯を炊くことができ、現在も使われています。
高野山の聖地①「壇上伽藍」へ
壇上伽藍は、空海が高野山を開山した際、真っ先に造営に取り組んだ場所で、密教思想に基づく曼荼羅の世界観を具現化したものと言われています。
高野山の総本堂である「金堂」や高野山のシンボルである「根本大塔」をはじめとして、19もの諸堂が建ち並んでいます。
中門


金堂の正面手前に立っている朱色の楼門です。
壇上伽藍はかつて1843年の大火で、建物のほとんどが焼き尽くされてしまいました。
しばらく再建が進みませんでしたが、高野山開創1200年を記念して2015年に再建されました。
金堂


様々な行事が行われている金堂は、高野山の総本堂として重要な役割を果たしています。
根本大塔


根本大塔は高野山のシンボルです。
真言密教の教えを体現する象徴として建てられた塔で、塔内には立体の曼荼羅世界が広がります。
六角経蔵


鳥羽法皇の皇后であった美福門院が、鳥羽法皇の菩提を弔うために建立した経蔵です。
経蔵の下に取っ手がついていて回すことができます。
御社


御社は、空海が819年に山麓の天野社から地主神をお迎えした高野山の鎮守です。
山王院


山王院は御社の拝殿(神様に対して祭祀や祈願などが行われる場所)として建立された建物です。
西塔


空海の伽藍建立計画案である「御図記」に基づき、真然大徳によって建立されました。
この塔も曼陀羅の世界観を表現しています。
高野山の聖地②「奥之院」へ
もうひとつの聖地「奥之院」へ向かいました。
奥之院は空海の御廟があります。


奥之院は写真を気軽に撮れる雰囲気ではありませんでしたので、入口だけ撮影しました。


また奥之院では、空海以外にも様々な人のお墓が建てられています。
戦国武将や太平洋戦争の戦没者、大企業の役員、ペットまで、さまざまなお墓が並んでいます。
うっそうとした樹林の中はひっそりと静まり返っていて、まさに霊場の名にふさわしい雰囲気でした。


奥之院の一番奥に空海の御廟へ通じる「御廟の橋」があります。
御廟の橋を渡るとさらに厳粛な雰囲気に包まれ、立ち入っただけで自分も身を清められるような不思議な感覚に陥りました。
御廟では今でも1日に2回、空海への食事が運ばれています。
これは、「空海は死去したのではなく、座禅を組んだまま永遠の瞑想に入り、今も奥之院で生きている」とされているからです。
高野山の観光に必要な所要時間


高野山は広大な山間につくられているのですべての建物を回ることはできません。
(そもそも修行所なので観光名所ではありませんが)
高野山で見てべき3つのスポット(金剛峯寺・壇上伽藍・奥之院)の最低所要時間は、
- 金剛峯寺:1時間
- 壇上伽藍:1時間
- 奥之院:1時間
程度です。
これらはテンポよく回った場合の所要時間なので、ゆっくり見るのであれば1時間半~2時間程度取りたいところです。
よって金剛峯寺・壇上伽藍・奥之院を見て回るのに最低半日程度は欲しいです。
1点注意が必要なのは、これら3つのスポットが離れているということです。
ほとんどの方が車や観光バスだと思うので大丈夫だと思いますが、徒歩で移動する場合にはそれぞれ30分ほどの移動時間が余分にかかると思ってください。
高野山の口コミ
高野山の良い口コミや悪い口コミを紹介します。
良い口コミ
- 神秘的な雰囲気で煩悩を忘れられる(30代男性)
- お寺は厳かで良かった(50代男性)
- どこのお寺もそれぞれ弘法大師の世界を現していて身が引き締まるようだった(20代女性)
- 空気も気持ちよく自然いっぱいで素敵(40代女性)
悪い口コミ
- 外国の人も多いので思っていた雰囲気とは違った(30代男性)
- アクセスが悪いので行くには覚悟が必要(50代男性)
- お土産を売っている店が少ない(30代女性)
- 信心深い人でなければあまり行く意味はないかもしれない(40代女性)
役立つ口コミ
- 歩くのは大変なので車かバスが必須(30代男性)
- 内部拝観では靴を脱ぐので着脱しやすい靴がいい(30代女性)
- 時間があるならゆっくり歩くのもおすすめ(40代女性)
車で行くには酔いやすい山道なので注意が必要(50代女性)
高野山はこんな人におすすめ


高野山は、
- 日本史に興味がある
- 日本の宗教に興味がある
- 日本ならではの霊場の雰囲気を感じてみたい
という方におすすめです。
私自身は信仰深いというわけではありませんが、高野山に行くと身が引きまるような厳かな雰囲気を感じられてとても良かったです。
まとめ
高野山の広大な境内には様々な名所が存在しますが、あまりにも多すぎるので全部は見て回れませんでした。
限られた時間で高野山を観光するために事前にルートを確認し、計画を立てることをおすすめします。
また高野山金剛峯寺は信仰の場所であり、今でも僧侶たちが修行を積んでいます。
参拝で訪れる際にもマナーを守って回りましょう。
以上、<観光の前に読みたい!高野山の感想は?写真とともに見どころを紹介!>という話題でした。