一眼レフを始めて購入するとき、どれくらいの画素数のモデルを選べばいいのか分からないですよね。
お手頃に一眼レフを購入したいとは思うものの綺麗に映らないのは嫌ですし、高画素にこだわればこだわるほど価格も上がっていきます。
でも心配は要りません。エントリーモデルを含む今の一眼レフは日常使いするための必要な画素数は満足しているので、どのモデルを選んでも外れることはありません。
実は画素数はセンサーサイズとのバランスが大切で単に画素数が良い機種が高画質な写真を撮れるわけではないのです。
日常使いするだけであれば、1200万画素もあれば十分です。
今回は画素数と画質の関係を紹介していきたいと思います。
画素数とは画像を表示する画素(ピクセル)の数のこと
画素を理解するために下の図をご覧ください。
テレビでもパソコンでもカメラでも映像はすべて1つひとつのドット(■)で形成されています。
画素とは画像の最小単位のことで、ピクセル(pixel)とも呼ばれます。
一眼レフはイメージセンサーに光を当てることで記録しますが、イメージセンサーに配置された光を記録するパネル1枚1枚のことを画素といい、光をデジタル信号に変える役割を持っています。
上の図を例にとると、縦方向4枚、横方向4枚で構成されているセンサーは4×4=16画素ですし、横方向8枚、縦方向8枚で構成されている右のセンサーは8×8=64画素です。
たとえば2,100万画素の場合、イメージセンサーの中に横5,616×縦3,744=約2,100万個の画素が規則正しく並んでいるということになります。
6,100万画素の場合、イメージセンサーの中に横9,504×縦6,336=約6100万個の画素が並んでいます。
一般的には画素数が上がると、より多くの色情報が敷き詰められることになるので細部まで綺麗に表現できます。
ただし1枚あたりの画像容量も大きくなるので、画像処理のために高性能なパソコンが必要です。
最近のエントリーモデルの一眼レフでは1,800万画素以上のイメージセンサーが搭載され、スマートフォンには1,000万画素以上のイメージセンサーが搭載されるなど技術革新が進んでいます。
解像度とは画素の密度のこと
ここでは画素数と混乱しがちな「解像度」について説明します。
解像度とは、画素の密度(画像のきめ細かさ)です。
解像度の単位をドットパーインチ(dpi)と言い、1インチ(約2.54cm)の正方形の中にどれだけの画素が並んでいるのかを表した数字です。
解像度が高ければ高いほど1インチの中に含まれる画素が高いため、画素の細かい、画質の良い印刷になります。
逆に解像度が低いと印刷した際にピクセルの粗が見えてしまいます。
画素数は多いほど良いわけではない
「画素数が多いと画質が低下することがある」と聞いたことはありませんか?
比較的画素数の低いエントリーモデルを購入するときに背中を押してくれる言葉ですね(笑)。
本当にそうだったら価格もお手頃でそこそこ画素数があるエントリーモデルで良いってなりますもんね。
では本当に画素数が多いと画質が低下してしまうのでしょうか。
結論から言うと、本当に「画素数が多い=画質が良い」とは限りません。
高画素で画質が低下すると言われるのは、イメージセンサーが同じ面積であるにも関わらず多くの画素を詰め込むと、1つひとつの画素の受光面積が小さくなりノイズが出たりしてしまうからです。
少し難しいのですが、センサーサイズに応じた適切な画素数があるということを覚えておきましょう。
画素数と画質の関係について
なぜ画素数が多いのに画質が低下することがあるのか、もう少し深掘りしてみましょう。
上図の左は16マスあるので仮に1600万画素とし、右は64マスあるので6400万画素とします。センサーサイズは両方同じです。
画素数は1600万画素→6400万画素で4倍になっていますが、黄色で示した画素1つひとつの面積は1/4倍になりました。
このように同じセンサーサイズの場合、画素数が増えれば増えるほど、1つひとつの画素の受光面積が小さくなってしまうため、1画素の階調(1画素ごとの表現力)が衰えてしまうんです。
物理的に1つひとつの画素が光を感じる力が少なくなってしまうので、それを補うには電圧を上げて無理やり能力を高めています。この時にノイズが発生しやすくなるんですね。
分かりやすい例に例えると、6畳のワンルームマンションに家族4人で住めますか?住めませんよね(笑)。何が何でも詰め込めば良いというものではなく、大家族には大家族に適した広い家が必要です。カメラも同じことです。
それなのになぜ新機種は画素数が増えていくのでしょうか。それは単純にメーカーの販売戦略です。
メーカーも当然画素数の問題については理解しているわけですが、画素数がそのままだと消費者にとっては性能が向上しているようには思われないので売り上げが伸びないのです。
同じ値段でもA社は2000万画素、B社は1800万画素だったらどちらを買いたくなりますか?ということですね。
同じ画素数ではイメージセンサーが大きいほど高画質
一概にすべてに言えることではありませんが、同じ画素数の場合イメージセンサーが大きいほど高画質になります。
例えば同じ1600万画素であったも、センサーサイズが大きければ1つひとつの画素の面積は広くなります。よってたくさんの光が読み取れるようになり、余裕が生まれます。
逆に非常に小さいスマートフォンのイメージセンサーに1600万画素を並べたら、1つひとつの画素の面積はとても狭くなってしまい、無理をさせないとたくさんの光を読み取ることができません。
画素数が上がれば、それだけ画素1つひとつの面積は狭くなるので、小さい面積の画素でも効率よく光を読み取れるように工夫しなければなりません。
技術が上がるにつれて高画素になりつつありますが、イメージセンサーの大きさと画素数はバランスが大切です。
4Kでも約800万画素しかない
参考までに最近主流になってきた4Kはどれくらいの画素数なのか見てみましょう。
「4K」とは「4,000」を意味し、テレビ画面の横の画素数が約4,000あることを指しています。
正式には横方向が約4,000画素、縦方向が約2,000画素となるテレビの規格ですので「4K2K」と呼ばれます。
つまり、4Kテレビの画素数は横4,000×縦2,000=約800万画素です。
4K以前の「フルHD」は横方向が約2,000画素、縦方向が約1,000画素なので約200万画素です。
これを考えても一眼レフの画素数がいかに優れているのか分かると思います。
求める画素数は目的に応じて変わる
一眼レフを選ぶ基準で「画素数」はとても大切です。
しかし写真の出来栄えは、「撮影者の技術」 「レンズ」「画素数」「イメージセンサー」などが関係しています。
画素数が高ければ解像度(画素の密度)の高い写真を撮ることができるので、 写真を引き伸ばしたりトリミングしたりするときに有利なのは事実ですが、画素数だけを見て高画素だから綺麗な写真が撮れるということではありません。
近年では5000万画素を超える一眼レフも発売されていますが、一般的に高画素機は三脚を使って止まっている被写体をじっくり撮影するのに適しているので、一瞬でシャッターを切るようなスポーツでは極端に画質が低下する恐れがあり向いていません。
動く被写体を撮影するのであれば連写機能やAF機能など他に重視すべき要素があるのです。
一眼レフのプロ仕様モデルでも画素数が2000万画素程度のものが存在しているのは、高画素機にもメリット・デメリットがあり目的によってどちらを選択するのがいいのかが異なるからです。
また「レンズ」の性能によっても画質は大きく変わります。
最高級一眼レフ+安いレンズではそれなりの画質になりますし、一方で低価格な一眼レフ+最高級レンズの方が高画質な写真が撮れることもあります。
要はバランスが大事なので、「高画素」にこだわる必要はありません。
日常使いなら1,200万画素あれば十分
では一体何画素あればいいの?と思いますよね。仮に5,000万画素の画素数があったとしても、1,000万画素の画素数を表示するスペックしかないのであれば1,000万画素の画質になってしまいます。
用途と大まかな画素数は以下になります。
用途 | 画素数 |
L判・ハガキ | 200万画素 |
A4プリント | 400万画素 |
A3サイズ | 700万画素 |
ポスターサイズ | 1,000万画素 |
116万画素 | |
13万画素 |
普段使うInstagramやTwitterなんてこれだけしか画素数がないんですよ。ちょっと驚きですよね。
一般的な用途でしたら画素数はたったの300万画素もあれば十分ですし、少し拡大して印刷することを考えても1,200万画素あれば十分です。
本当に大事なのは一眼レフの楽しみに触れること
ここまでお話してきた通り、画素数だけで画質が決まるわけではありません。
したがって画素数が低いエントリーモデルだと綺麗に撮れないんじゃないかと心配する必要はありません。無理に価格の高い高画素機を買っても使いこなせるシーンがないのです。
高画素機を否定するつもりはありませんが、低画素だからダメということでもありません。
そんなことを気にして一眼レフの購入を渋っているほうがもったいないです。
今発売されている一眼レフの画素数は通常使用で何も問題なく使えますので、悩み過ぎずに一眼レフを買って楽しみましょう。
まとめ
一眼レフの画素数については理解できましたでしょうか。
以上、<一眼レフ基礎知識|一眼レフの画素数ってどれくらい必要?たったそれだけでいいの?>という話題でした。
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