露出の設定は一眼レフを使いこなすうえで必須となる知識です。
「露出は絞り、シャッタースピード、ISOで調整するんじゃないの?」
「一眼レフには露出補正という機能があるけど、どんな時に使うの?」
露出の調整方法は色々あるので、初心者の方にとっては露出補正機能が果たす役割は何なのか混乱してしまうのではないでしょうか。
露出を絞り、シャッタースピード、ISOで調整することと、露出補正機能で調整することは目的は同じですが操作は別物です。
しっかりと整理して理解できるようにしましょう。
そもそも露出とは
一眼レフはイメージセンサーに光を取り込むことで被写体を記録します。
露出とはイメージセンサーに取り込む光の量のことを言います。
露出を調整することで、明るい場所でも暗い写真や、反対に暗い場所でも明るい写真を撮ることができます。
露出は絞り、シャッタースピード、ISOの設定で調整する
本来一眼レフでは絞り、シャッタースピード、ISOの設定で露出を調整します。
すなわち自分の意図する写真の明るさを全て自分で設定しなければいけないのです。
これがマニュアルモードと言われる撮影モードです。
ただ自分で全て設定すると言ってもシーンに合わせたベストな設定をその場その場で判断することは容易ではありません。
設定に手間取っていればシャッターチャンスを逃してしまいます。
一眼レフでは自動露出(AE)を搭載している
そこで一眼レフでは、写真の明るさが適正となるように自動で露出を調整する「自動露出(AE)」機能が搭載されています。
自動露出機能によって明るい被写体でも暗い被写体でもシャッターを切れば自動的に適正な明るさに調整してくれます。
ただしこの自動露出機能が働くのは撮影モードがプログラムオート、絞り優先、シャッタースピード優先の3つのモードの時だけです。
マニュアルモードとAUTOモードでは自動露出機能は働きません。
なぜならマニュアルモードは絞り、シャッタースピード、ISOの設定で自分で露出を調整するモード、AUTOモードは完全カメラ任せのモードだからです。
ここをしっかり抑えましょう。
一眼レフの自動露出に任せて撮影
このように一眼レフでは撮影する場所や被写体の明るさを感知してシーンに合わせた適正露出を設定しれくれます。
一眼レフに任せておけば極端に明るすぎたり、暗すぎたりする写真が撮られる心配はありません。
しかし、写真によっては「見たイメージと違う」とか「より明るい(暗い)方が好みだ」と感じることがあります。
自動露出で撮影した適正露出はあくまでも一眼レフの判断に過ぎませんので、自分で好みの露出に変える必要があります。
この時に使用するのが露出補正という機能なんですね。
露出補正機能とは写真の明るさを自分好みに簡単に調整できる機能のこと
大事なので何度も言いますが、本来一眼レフでは絞り、シャッタースピード、ISOの設定で露出を調整します。
ただしこれらを設定で適切な露出にするには時間がかかります。
プロやかなり熟練しているアマチュアの方でない限りマニュアルモードでシャッターチャンスを逃さず撮影することは困難です。
そこで一眼レフでは自動露出を使って自動的に適正露出を選択します。
ところが、自分の意に反する明るさになってしまう時もあるので、そこで登場するのが簡単に明るさを調整することができる「露出補正」と呼ばれる機能です。
露出補正はEVという明るさの単位で表される
露出補正の±0EVは、露出補正を行っていない状態すなわち一眼レフが適正と判断した明るさです。
EVはプラスの調整とマイナスの調整があります。
プラスに調整すると写真が明るくなり、マイナスに調整すると写真が暗くなります。
EVの数字が1つ変わると(1段変わるという)、写真の明るさが2倍(または半分)になります。
EVを±1調整すると写真の明るさがかなり変わってしまうので、0.3EV(0.3段)とか0.5EV(0.5段)で何度か撮影をしてみて様子を見ながら調整しましょう。
-3EV -1.5EV 0EV +1.5EV +3EV
露出補正機能が使えるのは一部の撮影モードのみ
露出補正機能が使えるのは一部の撮影モードのみです。
本来露出は絞り、シャッタースピード、ISOで調整するものなので、マニュアルモードでは露出補正機能は使えません(というより要りません)。
またシーン別AUTOモードなどは初心者向けのカメラ任せモードなので、露出補正を操作できません。カメラが明るさを決定します。
露出補正機能はプログラムオート、絞り優先モード、シャッタースピード優先モードで写真のボケ感や躍動感のイメージを変えずに露出だけを変更できる機能なんですね。
露出補正の撮影手順
露出補正と聞くと難しいかもしれませんが、意図的に明るさを変更して思い描いたイメージに近づけるというだけです。
撮影するときは1カット毎に露出の確認をしましょう。
撮影をするときに露出補正を大幅に変更してみると、意外と気づかなかった写真の表現に気づけるときがあります。
露出補正の使用例を3ステップで紹介
これから紹介する露出補正の使用例を使って露出補正をマスターしましょう。
《ステップ1》適正露出で被写体を目で見た印象に再現する
一眼レフが自動で露出を設定してくれる自動露出機能ですが、最近の一眼レフは性能が良いので露出を大きく外すことはありません。
ただし逆光や明暗差が激しい場所では自動露出機能だけでは思い通りの露出にならない場面があります。
特に人間の目で見た印象と大きく変わってしまう場合もあるので、そのようなときは露出補正を行いましょう。
逆光だったため、全体的に暗い写真になってしまった
露出補正で+1EVすることにより、全体的に明るい印象となった
周囲が明るい状態だったので、全体的に明るい写真になってしまった
露出補正を-1EVに設定し、金属の重厚感を引き出した
《ステップ2》適正露出よりも露出アンダー/オーバーで仕上げる
意図的に露出アンダー/オーバーで仕上げる方法もあります。
露出アンダーとは適正露出よりも暗めに写真を仕上げることで、露出オーバーとは実際の明るさより明るめに写真を仕上げることを言います。
露出アンダーのことをローキー、露出オーバーのことをハイキーと言ったりもします。
露出アンダー/オーバーに設定することで写真の雰囲気を変えることができます。
適正露出でも十分な明るさではあるが、もう少し元気を伝えたい
露出オーバーで補正することにより、晴天時の元気なひまわりを表現した
適正露出で目で見た印象通りの表現になっている
露出アンダーで補正することにより、さびれた感じを表現した
《ステップ3》光と影の明暗を捉えて強い印象を与える
普通の撮影では露出補正の調整幅は ±1EVくらいですが、思い切って±3EVほど露出補正をすると、写真の印象をガラリと変わります。
特に明暗差が大きいところではインパクトのある写真に仕上げることができます。
大きく露出補正をする白つぶれや、黒つぶれができてしまいますが、意図的にそれらを表現するのも面白いです。
逆光で影の部分が見えづらい印象になっている
大幅に+側に露出補正することによって、太陽と新緑の印象を強くした
室内が全体的に明暗差がなく、のっぺりとした印象になってしまった
大幅に-側に露出補正することによって、外の景色を印象強くした
まとめ
絞り、シャッタースピード、ISOによる露出の調整と、露出補正機能による露出の調整の違いが理解できたでしょうか。
露出補正をマスターして写真の明るさを調整できるようになると、写真を撮ることが楽しくなります。
しっかりと身につけましょう。
以上、<一眼レフ基礎知識|露出補正の役割とは?絞り、シャッタースピード、ISOと何が違うのか>という話題でした。
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