マウントアダプターはメーカーごとに異なるマウントを互換するもので、違うメーカーのレンズやオールドレンズをつけるときには必須のアイテムです。
たとえば他社メーカーのカメラを購入した途端にこれまで買い揃えたレンズは使えなくなるので、また一からレンズを買い揃えなければなりません。しかしマウントアダプターがあれば、異なるマウントであってもつけることができます。
この記事ではマウントアダプターの役割や種類、メリットとデメリットを分かりやすく解説します。
マウントとはカメラとレンズの結合部分
カメラとレンズを結合する金属部分を「マウント」と呼びます。レンズを取り外すとカメラ側とレンズ側に金属があり、両者を装着するための爪(切り欠き)がついています。
マウントには電子接点がついており、これによって多くの機能(手振れ補正・絞り・シャッタースピード・ズーム・オートフォーカス・メタデータ)が制御されています。
マウントはメーカーごとに異なる
マウントはメーカーごとに形状が異なります。同じメーカーであっても機種によってマウントが異なる場合があり、どのメーカーも2~5種類くらいのマウントがあります。
たとえばSONYであれば一眼レフ用のAマウントとミラーレス一眼用のEマウントの2種類があり、それぞれのマウントに適合したSONYのレンズしか使えません。
自社製品を売りたいわけですからマーケティング上は当然のことです。カメラとレンズは同じマウントのものしか使えないことを覚えておきましょう。
主要メーカーのマウント一覧
主要メーカーの代表的なマウント一覧です。カメラやレンズを買う場合はマウントの確認が必須ですので、事前に調べるようにしましょう。
メーカー | 機種 | マウント |
Canon | フルサイズ一眼レフ | EFマウント |
フルサイズミラーレス | RFマウント | |
APS-C一眼レフ | EF-Sマウント | |
APS-Cミラーレス | EF-Mマウント | |
Nikon | 一眼レフ | Fマウント |
ミラーレス | Zマウント | |
SONY | 一眼レフ | Aマウント |
ミラーレス | Eマウント | |
FUJIFILM | 大判一眼レフ | Gマウント |
ミラーレス | Xマウント | |
OLYMPUS | フィルム一眼レフ | OMマウント |
デジタル一眼レフ | フォーサーズマウント | |
ミラーレス | マイクロフォーサーズマウント |
>>フルサイズは必要ない|カメラ初心者はAPS-Cがおすすめ
マウントアダプターの役割
マウントアダプターは、マウントの異なるカメラとレンズをつけられるようにするためのものです。
これまで見てきたようにメーカーごとにマウントが異なるので、本来はマウントの異なるカメラとレンズを組み合わせることはできません。そこでマウントアダプターを間にはさむことで、異なるマウント同士のカメラとレンズを組み合わせることができます。
たとえば、「これまではNikonのカメラを使ってきたけど、Canonに乗り換えた」「同じNikonだけど一眼レフからミラーレスに買えた」というときは、これまでに購入したレンズが使えなくなってしまいます。継続して使うのであればマウントアダプターを利用する必要があります。
マウントアダプターのメリット
マウントアダプターのメリットを紹介していきます。
メーカー違いのレンズをつけられる
誰にでも今まで使ってきた思い入れのあるレンズがあるはずです。そのようなお気に入りレンズもマウントアダプターを使えば、メーカーやカメラが変わった後でも使い続けることができます。レンズは高額ですからカメラに合わせて買い換えるわけにはいきません。元々のレンズを使い続けられるのは大きなメリットですよね。
使用するカメラにはないラインナップのレンズをつけられる
使いたいレンズがあっても所有するカメラのマウントの関係でつけられない場合があります。そのような場合はマウントアダプターによって使用することができ撮影の幅が広がります。最近流行りのオールドレンズなどはまさにこの事例です。本来つけられない古い年代のレンズをカメラにつけて味のある撮影を楽しむというものです。
マウントアダプターのデメリット
マウントアダプターは万能かと思われますが、そうではありません。
レンズの電子制御による機能が使えない
マウントアダプターを使う場合は、レンズの電子制御機能が使えません。これが大きなデメリットです。
レンズの電子制御は
- 手振れ補正
- 絞り
- シャッタースピード
- オートフォーカス
- メタデータ
などをコントロールしているため、これらの機能が使えないということです。
したがってレンズには絞りを変える絞りリングや、マニュアルフォーカスを使うためのフォーカスリングが必要です。
電子制御を使うのであれば、メーカーから発売されている純正マウントアダプターかサードパーティー製の電子接点付きマウントアダプターを使う必要があります。ただし純正マウントアダプターは一眼レフからミラーレス一眼の買い替えなどを想定しているので自社製品に限られてしまいますし、サードパーティー製は挙動が不安定だったりと多少の制限は受けてしまいます。
このデメリットによってマウントアダプターは使用しないというユーザーも多いです。少なくとも遊びの一環として捉え、大事な撮影では使用しないくらいの心持ちのほうがよいかと思います。
フランジバックを理解しよう
マウントアダプターを使用する上で必ず知っておかなければならないのが、フランジバックです。フランジバックとはマウント面からイメージセンサーまでの距離のことで、フランジバックはメーカーごとに厳密に決められています。メーカーのレンズはフランジバックに合わせて最大の描写が確保できるように設計されています。
マウントアダプターをつけるときにもフランジバックを考慮する必要があります。もしフランジバックが合わないような取り付けでは、変なところにピントがあってしまうからです。
基本的には、フランジバックの長いレンズをフランジバックの短いのカメラにつけることは可能ですが、フランジバックの短いレンズをフランジバックの長いカメラにつけることはできません。
つまり原則として、「レンズのフランジバック>カメラのフランジバック」の状態であればマウントアダプターでカメラとレンズをつけることができます。
文章では理解しづらいかと思いますので、分かりやすい動画も紹介します。
主要メーカーのフランジバック一覧
主要メーカーのフランジバックです。すべての機種は紹介できませんが、マウントアダプターを購入する前にはフランジバックをしっかりと確認しましょう。
メーカー | 機種 | フランジバック |
Canon | フルサイズ一眼レフ | 44.0mm |
フルサイズミラーレス | 20.0mm | |
Nikon | 一眼レフ | 46.5mm |
ミラーレス | 16.0mm | |
SONY | 一眼レフ | 44.5mm |
ミラーレス | 18.0mm | |
FUJIFILM | ミラーレス | 17.7mm |
マウントアダプターの種類と特徴
具体的にマウントアダプターの種類と特徴を見ていきましょう。
純正マウントアダプター
メーカーから発売されている純正マウントアダプターです。たとえば一眼レフからミラーレスへの買い替えなど、原則として自社のマウントにしか対応しません。純正だけに互換性は高く、レンズのすべての機能が利用できます。ただし1〜3万円前後が相場で価格が高いのが難点です。
メリット
- 安心して使える
- AFやAE、手ブレ補正などフルに活用できる
デメリット
- 価格が高い
- 他社製マウントには非対応
サードパーティー製マウントアダプター
サードパーティー製マウントアダプターはメーカーが異なるカメラとレンズを組み合わせることができます。
電子接点ありタイプ
電子接点ありタイプはカメラ側とレンズ側に電子接点があるタイプのマウントアダプターです。電子接点があるので基本的にはレンズの機能をフルに活用でき、焦点距離や絞り値などのExif情報も記録されます。
メリット
- AFやAE、手ブレ補正などフルに活用できる
デメリット
- 挙動が不安定な場合がある
- 全く動かない場合がある
オートフォーカス可能タイプ
オートフォーカス可能タイプはカメラ側にだけ電子接点があり、アダプター内のモーターを使ってAF駆動を行います。こちらはExif情報を取得できません。
メリット
- AFを活用できる
デメリット
- 挙動が不安定な場合がある
- 全く動かない場合がある
電子接点なしタイプ
マウントに互換性のみを持たせるアダプターです。電子接点がないので低価格ですが、電子制御機能は全く使えません。マウントを変えるだけなので参入メーカーも多く、中華系をはじめとして低価格で手に入ります。
メリット
- 価格が安い
- 種類が豊富
デメリット
- 精度が悪い場合がある
- はめ込みが固い場合がある
- 電子制御機能が使えない
まとめ
マウントアダプターの紹介はいかがだったでしょうか。マウントが異なるカメラとレンズを組み合わせることができる大変便利なマウントアダプターですが、デメリットもあります。
マウントアダプターはあくまでも遊びの一環として捉え、大事な撮影では避けた方がよいかと思います。
以上、<マウントアダプターの使い方|メリットとデメリットを分かりやすく紹介>という話題でした。